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[ 龍谷講座 ] 企業社会を考える 経営学の知識を学外に <2008年4月>

 2月16日、3月1日、15日に、本学深草学舎3号館202教室にて、龍谷講座「現代の企業社会について考える」が開講された。同講座は、本学経営学部の講師らによって行われ、本学の知的財産を学外の人々と共有する目的で開催された。


 株式会社と企業統治 坂本雅則講師
▲株式会社についての講演風景
 =3月1日、本学深草学舎3号館202教室


 3月1日に行われた龍谷講座は、本学経営学部の坂本雅則講師を招き、「株式会社と企業統治」をテーマに行われた。坂本講師は、株式会社について説明し、さまざまな企業形態を解説。その上で、間違って解釈されている専門用語などを指摘した。

 最初に、坂本講師はニュースの一例を取り上げ、その記事が社員と従業員の意味をはき違えている点を指摘した。株式会社における社員とは、投資家のことを指す。業務に携わる人は従業員と呼ぶのが正しい。その間違いを批判しながら坂本講師は、「間違った情報に惑わされないように個人で正しい知識を身に付けることが大切」と参加者に訴えた。

 続いて坂本講師は、人々は株式会社における支配者を株主だと認識することが多いと指摘した。それは株主の主という字が持つ印象による部分が大きいという。それについて、「主という文字で、会社の主が株主だと錯覚しそうになる。しかし、投資額以上の責任を負わない株主に会社財産を操る権力はない」と語った。

 また、「村上ファンド」創設者の村上世彰(よしあき)氏が阪神電気鉄道の株を買い占めた際、阪神電鉄の経営方針に口を出したことも例に挙げた。それに対し、「株主に経営の実権を握る力はない。そのことを採り上げ指摘するマスコミや専門家が少なすぎる」と苦言を呈した。

 坂本講師は今回の講座について、「マスコミが企業に関係する言葉の意味を間違えて解釈していることは、企業責任が問われている現代において大きな問題だ。その現状を踏まえ、正しい知識を学んでほしい」と語った。


▲科学史との関連を語る小長谷准教授
 =3月15日、本学深草学舎3号館202教室

 科学史からみた企業社会 小長谷大介教授

 3月15日の龍谷講座は、本学経営学部の小長谷(こながや)大介准教授を迎え、「科学史の視点からみた現代の企業社会」をテーマに行われた。

 まず、小長谷准教授は今回の講座を進めるに当たり「現代企業は科学と技術を駆使する企業、現代科学は科学の産業化に貢献する科学である」と、この講座での言葉の定義を紹介した。

 小長谷准教授は、現代企業の成り立ちを、企業と技術と科学の出会いとした。イギリス産業革命の時代にさかのぼり、製品の製作手段が手作業から機械へ変化したことや動力源が自然から人工へ移り変わったと語った。

 例として、アークライトの水力紡績機発明など、さまざまな発明を挙げ、「職人界の発展は、モノに対する技術の高度化と科学の駆使である」と述べた。

 また、経営方法に関して、今までは一人しかできなかった技が、多くの人が同じ技を持ったことで、組織的な運営ができるようになったというアメリカの巨大企業誕生の時代の特徴を取り挙げた。小長谷准教授は、「経営者界の発展は、組織、管理の技術と科学を駆使することが重要」と話した。

 続けて、現代企業の発展のヒントを現代科学の成り立ちから述べた。小長谷准教授は、アインシュタインが光量子を見出したことと、ド・ブロイの電子の二重性を比較し、学界における科学を位置づけた。

 最後に、「現代科学の発展は、コントロールできる範囲ではなく、予定調和もあり得ない。科学が意外なことから発見されるように、現代企業も意外な展開から生まれる」と現代企業を科学史の面から話した。
記事=上林あゆみ、鈴木啓介
撮影=松本 宜子、川西秀樹


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