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[ 特集 ] 雪虫の話 妖精の正体はアブラムシの仲間 <2005年1月号>

▲木の葉にとまる小さな雪虫
 冬の初めごろ、白い綿のようなものをまとい、空宙を飛び交っている生き物がいる。大きさは2〜3ミリで、ふわふわしていて、実にかわいらしい。

 一般的に「雪虫」と呼ばれているこの生き物は、その愛らしい姿から「雪の妖精」と言われている。キャラクター商品が発売されたこともある。

 この不思議で魅力的な生き物「雪虫」について少し調べてみた。

 まず名前だが、そもそも「雪虫」という名前は俗称で、本名は「トドノネオオワタムシ」という。驚いたことに、アブラムシの仲間だ。私たちが雪に見立てていた、体の白い綿のような部分はろう状の油で、ワックスのようなものだそうだ。

 次に生態を紹介する。6月から10月中旬までは、トドマツの根に寄生し根から液を吸う。卵ではなく子虫を産んで7〜8世代まで繁殖する。羽はなく、すべてメスだ。

 そして最後の世代だけが羽を持ち、10月中旬、風のない日にヤチダモの木を目指して飛び立つ。このときの姿が「雪虫」と呼ばれている。

 ヤチダモの木に着くと、雪虫はオスとメスの子虫を産む。この子虫が交尾をして木の幹に卵を産み付ける。卵はそのまま冬を越す。

 春に卵から生まれた世代(すべてメス)はヤチダモの葉を食べ、また子虫(これもすべてメス)を産む。この世代だけが羽を持ち、6月中旬にトドマツへ移動する。

 なんとややこしい生態だろう。それにオスの出番が少なすぎる。しかも、ただ交尾をして卵を産むためだけに存在している。本当に奇妙な生き物だ。

 さて、これを読んで雪虫に興味を持ってもらえただろうか。だが残念なことに、もう季節は真冬。次に雪虫を見ることができるのはずいぶん先のことだ。

 雪虫に会いたくなった人は、楽しみに待っていてほしい。秋の終わり、また雪の妖精が冬を連れてやってくるのを。
(堀川和也)


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