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[ 本紹介 ] 丸谷才一「輝く日の宮」 <2008年4月>

▲ 『輝く日の宮』
 著者=丸谷才一
 発売元=講談社
 価格=770円(税込)

 今回紹介する『輝く日の宮』は『源氏物語』の謎を巡って展開される小説である。多くの人が高校で勉強したであろう『源氏物語』だが、あまり面白いと思えなかった人もいるだろう。そのような人にも勧めたい1冊だ。

 主人公の杉安佐子は、19世紀文学の研究者。彼女はあるシンポジウムの場で『源氏物語』には失われた「輝く日の宮」の巻があったと主張する。畑違いの研究者のこの意見を良しとしないのは『源氏物語』の専門家だ。シンポジウムでは異例の大論争が始まり、ついに安佐子は論敵の要求により「輝く日の宮」を小説の形式で執筆することになる。

 「輝く日の宮」についての考察を続ける安佐子の様子は、推理小説の主人公のようでもあり、読者は次々と立てられる斬新な仮説に驚きを覚えるだろう。『源氏物語』をほとんど知らない読者をも引き込む魅力が本作にはある。

 物語の終盤、千年の時を超えて、紫式部と一体となった安佐子が書き上げる「輝く日の宮」はまさに圧巻だ。

 本作品は、芥川賞受賞作家の丸谷才一が約10年に一度発表している長編小説の一つ。作者の日本文学への深い造詣がこの作品でも、惜しむことなく披露されている。

 今年は、『源氏物語』の成立より千年を迎える記念すべき年である。これを機に日本文学史上最高の傑作と称される『源氏物語』の世界に触れてみてはどうだろうか。
(雨宮薫)


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