秋季リーグを制した龍大は、関西六大学野球代表として出場した。1回戦は大阪体育大学(阪神大学野球)と対戦し、主将菊地のサヨナラタイムリーで勝利し、第一代表決定戦決勝へ。決勝は近畿大学(関西学生野球)と対戦。近大エース大隣の前に龍大打線が沈黙し、1点しか奪えず惜敗。残された神宮大会出場権をかけ、第二代表決定戦に臨んだが、敗者復活戦を勝ち進んだ大体大にサヨナラ負けを喫し、龍大は惜しくも、神宮大会出場を逃した。 三塁塁審が本塁打を判定した瞬間、井上はマウンドに座り込んだ。 9回裏、無死走者なし。大体大主将渡辺に対し、井上がフルカウントから投げ込んだのは136キロの直球だった。サヨナラの走者を 出すことになる四球は絶対に許されない緊張した場面。渾身(こんしん)の一球は高めに浮いた。 失投を見逃さず、完璧に捕らえられた打球はレフトポール際へ。龍大ナインはファールであることを願ったが、判定はサヨナラ本塁打。椹木(さわらぎ)監督の抗議も実らず、2年ぶりの明治神宮大会出場はならなかった。 「最後に打たれはしたが井上は今季よく成長してくれた」。試合後、椹木監督は満足した表情で語った。 エース柳瀬の故障、左腕井村の不調など、秋季リーグ序盤の龍大投手陣は不安定だった。しかし、試合を重ねるごとに井上が成長。2試合連続延長戦となった京都産業大学戦では、2連投にもかかわらず中継ぎで好投し、龍大に優勝をもたらした。 柳瀬、井村という龍大が誇る二枚看板は今季で引退する。彼らの抜けた投手陣を整備することが来季へ向けた最大の課題だった。そんな中での、今季の井上の活躍は龍大にとって大きな収穫となった。 打線は秋季リーグで最優秀選手賞を受賞した明神や、近畿大学のエース大隣から本塁打を放った岩下など好打者がそろっている。さらに投手陣が井上を中心に充実すれば、来季こそ念願の神宮への切符をつかむことができるだろう。 ●椹木監督 「今季は柳瀬の故障で非常に苦しかったが、井村、井上がよくやってくれた。来季はもう一度投手陣を整備して、龍大らしい守りの野球を目指したい」
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